Prabha
静寂に故人を想う、光の納骨堂
「Prabha」(プラバ)とは、古代インドの経典で「光」を意味する言葉です。
室町時代から続く古刹、浄土真宗本願寺派一乗山妙蓮寺の新納骨堂Prabhaは、故人のための部屋という理念を表現した室内と、静かに命に思いを馳せる「静寂の庭」が特徴の、ホテル旅館のような優しい納骨堂です。
建物はバリアフリーで、自動ドア、空調設備、エレベーターを備え、誰もが安らげる場所として訪れる人を迎えます。
暗く殺風景な倉庫のような納骨堂では、訪れる人はどこか憂鬱な気分になるかもしれません。旅館やホテルのような優しい納骨堂は、亡くなった方がご遺族と共にくつろげる場所になる。そのような思いから、ホテル旅館の経験をいかした白漆喰の壁と木を使った光あふれる室内とし、納骨壇の色も通常の黒ではなく、西方浄土の光、夕陽の茜色という特別な色としました。
デザインはモダンでありながら境内と調和し、本堂の伝統的な建築様式を引き立て、STARの企業コンセプトである「未来の古典」を表現しています。
今回、宝暦年間1750年頃に建てられた本堂をはじめ、山門、鐘楼、庫裡、そして新納骨堂を、現在の建築基準法に適合させ、石碑も移設し、これからのために境内を整備しました。
多くの関係者を抱える寺院では、円滑な合意形成が求められます。事前に詳細なCGを作成することで、門徒および金融機関の方々の合意をとりつけました。
「静寂の庭」はこのプロジェクトの大きな特徴であり、納骨堂にとって大切な要素です。瞑想ラウンジにゆったりと座り、静かに命に思いを馳せることのできる庭には、静かでありながらシンプルで完成度の高い景観が求められます。
私たちは、石とメインとなる松の選定からはじめ、幾度かの試作を重ねたのち、石と五葉松がうまく調和し、完璧でシンプルな枯山水の庭を実現しました。
土地や家族に根ざしてきたお寺が、都市化による土地離れと墓じまい、核家族化による檀家(門徒)の減少などにより、その基盤を失いつつあります。このような家族から個人への流れの中で、普通のお墓ではなく、納骨堂を求める人が増えています。加えて、女性に好まれる明るく優しい雰囲気の納骨堂が好まれています。こうした時代背景があります。
「遺骨を納めるという行為について、もっと丁寧に考えたい。何よりも、私自身が骨を納めたいと思える納骨堂を、どなたか設計してもらえないだろうか」それがご住職の思いでした。
これまでの本堂や庫裡はお付き合いのある寺院専門の設計士さんにお願いしてきましたが、今回その方をお断りされて、STARにお声がけいただきました。
その理由は、私たちが、寺院・納骨堂に加え、リゾートホテルの実績が豊富で、ご住職の理想をかなえることができると考えたからとのこと。
納骨堂を亡くなった方のホテル旅館としてデザインする。それが私たちのコンセプトです。
浄土真宗では、命を終えた人は浄土にて仏となり、残された人を導いていくと考えられています。
ですから、納骨室は仏様のお部屋であり、私たちの考え方に合致しています。
これからの「納骨堂」は、ホテル旅館のように亡くなられた方とご遺族がくつろげる場所であるべきだと考えます。ご遺族が仏様となられた方々と安心して悲しみも喜びも語り合える。そのような場所が必要とされています。
サービス内容:納骨堂企画/境内再整備/建築設計監理/インテリアデザイン/家具デザイン/照明デザイン/庭園デザイン/サイン・プロダクトデザイン
設計チーム:
建築:teamSTAR®️
Creative Director/Architect 佐竹永太郎 (STAR)
Senior Architect 山田慎一郎 (Yamada Studio)
Main Architect 田中邦幸 (moires)
Assistant 范駿東 (STAR)
構造設計:坂田涼太郎(坂田涼太郎構造設計事務所)+白橋祐二(建築食堂)
設備設計:高橋良輔(NoMaDoS)
照明デザイン:安原正樹(Plus y)
サインデザイン:奥瀬麻実子(clip)
施工:アイビック
造園:池部造園
- Title:
- Prabha プラバ
- 用途:
- 寺院・納骨堂
- 構造及び階数:
- RC+S造、地上2階
- 規模:
- 敷地面積5147m2 延床面積323m2
- 所在地:
- 大分県大分市
- 期間:
- 設計 2022.03〜2023.04
施工 2023.05〜2023.11 - Media: