開業から11年/15年　インバウンド／ホテルニーズに対応した旅館客室のリニューアル


開業後11年目の2019年に和室客室１０室を、坪庭のある半露天風呂付き客室２室とシャワールーム付き十畳和室２室にリニューアルしました。
客室でもシャワーが利用したいというインバウンドニーズへの対応が背景にあります。
これまでの旅館デザインを踏襲しながら深化させ、坪庭のある半露天風呂付き客室という特徴的な客室を準備しました。
十畳和室は改修費用を圧縮するため、和室を表層改修にとどめ、既存水回りエリアの中でシャワールームを追加しました。

さらに4年後の2023年、旅行者のベッドニーズの高まりを受けて旅館の基本である布団サービスだけでなく、客室にベッドを導入するリニューアルを行いました。
二つの客室を一つにまとめ半露天風呂付き72m2のスイートルームとし、八畳をシャワー付きの和洋室にリニューアルしました。
この２室はホテルライクなこれまでの和のデザインよりモダンなデザインに変化をつけて、客室のデザインバリエーションに変化を加えています。
客室をシンプルなデザインとする一方、桜島溶岩石、シラス塗り壁、蒲生和紙、八代の畳、九州のセンダン木材と、地域産材を積極的に用い、ここにしかない旅館としてのストーリーをデザインしました。客室デザインの温度感を高めるため、経年変化する銅の手洗いボールや真鍮製の水栓と、古材と作家物を取り混ぜたアートワークで一つしかない客室という独自性を演出しています。
六畳和室はベッド化と水回りの改修を行い、和の旅館デザインが踏襲された中で、地域産材の活用、アートワークの演出が加わった小さいながらも心地よい客室が実現しました。

2008年にミドルクラスの温泉旅館としての骨格を作り、マーケットニーズに応えてこれまで15年にわたり進化させてきました。
継続して関与していくなかでデザインの蓄積と深化がすすみ、デザインの成長と変化を楽しみながらリニューアルを続けています。


サービス内容：インテリアデザイン/スパデザイン/家具デザイン＆FFE /サインデザイン/照明デザイン/ブランド戦略


2019 建築 :
teamSTAR®︎
Creative Director/Architect: 佐竹永太郎 (STAR)
Main Interior Designer: 奥原引倫（sola design studio）
Assistant: 斎藤真由 (STAR)、奥原香菜（STAR）

2023 建築 :
teamSTAR®︎
Creative Director/Architect: 佐竹永太郎 (STAR)
Main Interior Designer（スイートルーム・八畳和洋室）: 高橋良至（studio lai）
Interior Designer（六畳和室）: 奥原香菜（STAR）


2019 施工: タカ建興
2023 施工: 三和建設　アートワーク: 白日　家具デザイン:アトリエオル　家具製作： 未来創作所


写真: 伊藤徹也