理想の住まいをつくる
「理想の住まいをつくりたい、でもそれがどんなものなのかをほかの人になかなか伝えられない」。
そんな悩みを抱えていた青木さんは、佐竹と出逢ったことで、理想の住まいづくりを実現できたと言います。
この対談では、そんなドラマを伝えます。
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僕は、今のこの部屋を「理想の住まいにしたい」ってずっと思って、そうしようとしていたんだけれど、なかなか実現しなかった。僕の理想の空間がどんなものなのかをわかってくれる人に長いこと出会えませんでしたね。
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青木さんは、施工会社のAさんが紹介してくれたんですよね。
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僕の話が理解できないから、Aさんが佐竹さんを紹介するっていうことで(笑)。
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そこから構想1年半、施工にも1年半。
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佐竹さんと会って話すたびに新しいアイデアが出てくるのが面白くて、お互いにキャッチボールみたいなやりとりをして、自分の居心地がいい空間ができたって思います。
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何度も何度もレイアウト練り直しましたね。
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友達には「いつできるの?」て言われちゃいました(笑)。でも「腹をくくってとことんやる」って決めてましたね。
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理想の住まいをつくりたい、でもその前に佐竹さんはもともとのこの部屋にあった、僕でも気が付かなかった潜在的ストレスになっている問題点を洗い出してくれましたね。
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ここは200㎡もあって、マンションとしてはすごく広いんです。でも何故かその広さが感じきれない。違和感がありました。
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さすが、建築家だから気が付いてくれたという感じです。
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調べてみると、廊下が無駄に多い、使われていない客用トイレがある、家の中心にある400リットルの貯湯タンクがキッチン・ダイニングを端に追いやっているなど、結局2割くらい無駄となっていることがわかりました。
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僕は人が好きで、よく自分ちに人を集めるんです。料理するのも好きで、自分で作ったものをみんなに食べてもらうから、キッチンをよく使うんです。
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それならば、スペースの無駄を解消して、もてなしの場にしたら? という提案をしました。前の間取りだと、料理を作りながら集まったみんなをもてなすには、とっても面倒に感じました。
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そうそう、キッチン脇のダイニングは狭いし、食事をしたい部屋はキッチンの隣なのに、壁があって行きにくい。結局広いうちなのに狭いキッチンのまわり一部しか使われていなかった。
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部屋に来た人たちがまずキッチンに集まって、青木さんが料理しながらもてなせる空間にしました。レストランでシェフがプライベートの友人をキッチンに招いてもてなす、シェフズテーブルから着想を得ています。
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佐竹さんはこういった自分の話を大切にしてくれて、力点を置いて取り組んでくれる人ですね。
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次にパブリックとプライベート(公と私)の整理です。改修前はプライベートの空間を通ってパブリックに向かう動線となっていました。
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何も言わないとゲストはリビングにいくつもりで寝室にいってしまう間取りでしたね。
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それを整理して明快にわけることで、ゲストを招く機会も多いライフスタイルを心置きなく楽しめるようにしました。そして、そこに遊び心をいれて。
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例えば、書斎とキッチンの間仕切りを本棚にして可動式の本棚を入口にするとか?
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そうですね。
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僕の希望で、本棚の背になる部分を半透明のガラスにしてもらいました。見た目には本棚の向こうにプライベートな空間があることがわからない。こんなふうにパブリックとプライベートが分けられることになりましたね。
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人がたくさん訪れるお宅なので、動線を検証して、スムーズにストレスなく動いてもらえるようにということを意識しました。
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そういうことは建築家だからできたなって思っています。
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ありがとうございます。
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それが終わったら、エステティクスに関すること、つまりはインテリアに僕の美意識を反映させるという段階になりました。この話し合いは盛り上がっちゃいましたね。
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そうですね、盛り上がりましたね(笑)。
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僕は子供の頃から親の仕事の都合でアメリカをはじめいろんな国で暮らし、いろんな友達から影響を受けて、自分の感性ができあがってきました。そのセンスをほかの人にうまく伝えることがなかなかできなかった。
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既成概念にこだわらず、お互いビジュアルをもちより会話を重ねてイメージを固めていきましたね。
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今までは住まいのインテリアを自分で考えていました。でもそれだと全部おなじテイストになってしまう。なので、それも変えたかった。建築家・佐竹さんととことん話し合って、部屋ごとにテーマがあり、でも全体の統一感もある。そんな家にしたかった。
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キッチンの先にある、リビングとラウンジは、ワンルームながら対象的なインテリアが際立つ空間です。ケニアのオブジェが映えるリビングは黒を基調にモノトーンの空間とする一方で、フォーマルダイニングとなるラウンジは、ヨーロッパの古いアパートをリノベーションした部屋をイメージして、モールディングをあしらいクラシカルな空間としました。
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ウォークスルークローゼットの奥にある主寝室は、徹底的に心地よい空間にしたいとお願いして、シャギーカーペット始めファブリックでつつまれたホテルの客室のようなインテリアにしました。
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アートやアンティークのコレクションをどのようにレイアウトするかも今回の重要なポイントでした。例えばルイ・ヴィトンの大きなトランクをどこに置くかとか。
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今、リビングの一角に置いてあるそれは、祖母の幼少時代、一家がパリからミラノに引越するときに使用していました。日本人が買ったものでも最初期になるとおもいます。あからさまに置くのはどうかと最初おもったのですが、佐竹さんがアイキャッチの場所におこうと。
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人にはそれぞれ歴史があって、代えがたいもの。トランクはその象徴だとおもいました。貴重な品をケースにいれず、あたかも無造作に部屋にサラリとおいてある。そういう感性がふさわしいとお話しましたね。
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僕はこの部屋に来た人たちに「この部屋いいでしょ!」って自慢するんです。でもそれはゴージャスさとかじゃない。僕が自慢したいのは、自分が心地いいと思える空間をつくることができた、「自分の感性を表現できた」っていうことなんです。
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そうおっしゃっていただけると、とてもうれしいです。
日本の不動産や建築の現場では、いずれ売ったりほかの人に貸したりするという可能性を考えたら、最大公約数を取り入れたものにしておいたほうがいいっていうのがこれまでの一般論なんです。
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でもそれじゃあ、住む人の生活がつまらないものになってしまいますね。
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よりたくさんの人が自分らしく暮らせる住まいをつくることはとても大切なことです。
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「住まいを自分仕様にするか、それとも最大公約数にするか」。建築家は、その魅力をコントロールできる存在なんですね。
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そうですね。住まいの魅力を丁寧につくりこむことは、資産の価値を上げることになります。魅力がないものは早くすたれていきます。
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すてきな住まいをありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
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こちらこそありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
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